江戸指物と木
日本には古来、家具・調度品の材として用いられてきた、美しい樹種がたくさんあります。
江戸指物では、その中でも、杢(もく)と呼ばれる独特の美しい木目や、ギンと呼ばれる深い光沢をもつ材を多く用います。
一本の木が材となり、江戸指物として仕上げられるまでには、数年から十数年、場合によってはもっと長い時間が必要です。
製材、乾燥、養生といった過程を経て、良質な材はさらにその強度を増し、より深い光沢を放つようになります。
こうして大切に材として寝かされていた木は、時が来ると指物師の手に委ねられ、江戸指物へと華麗に姿を変えるのです。
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代表的な樹種
桑(クワ)・梻(タモ)・欅(ケヤキ)・桐(キリ)・黄檗(キハダ)・献保梨(ケンポナシ)・槐(エンジュ)・栓(セン)・黒柿(クロガキ)
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江戸指物と技
堅牢に、そしてすっきりと美しく仕上げられた江戸指物。
その秘密は、見えないところに凝らされた精緻な技にあります。
指物では、板と板・板と棒を、ホゾと呼ばれる組み手(継手・仕口)によって自在に組み上げていきます。
釘を使わず、複雑な形のホゾを高い精度で加工し、組み上げる。しかし、組み上がってしまうとホゾは中に隠れ、外からは見えません。
高度な技を駆使しながらそれをあえて隠してしまうところに、江戸の心意気が生きています。
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